経 過 報 告 書

2024年5月27日

仙台空港カントリークラブを守る会 会員各位

 

102-0082

東京都千代田区一番町9-8

ノザワビル4階

伊東・早稲本法律事務所

TEL 03-6261-0167 FAX 03-6261-0168

 

弁護士 早  稲  本  和  徳  


拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 貴会ご依頼の件につき、現時点における会社更生事件及び破産事件の状況を下記のとおりご報告致します。

敬具

1 SKCCに対する会社更生事件の状況

(1)株式会社仙台空港カントリークラブ(以下、「SKCC」といいます。)に対する会社更生事件については、2024年3月29日付で東京地方裁判所より棄却決定が出されています。

   棄却決定の主な理由は、株式会社WOコンサルティング(以下、「WO」といいます。)からSKCCに対する6.2億円の贈与によって債務超過が解消されたという点にあります。

(2)これに対して、HJ側は、上記の贈与は「見せ金」にすぎず債務超過は解消されていないとして直ちに即時抗告しました。

(3)SKCCは、即時抗告に対する対抗策として、会則を変更して、会社更生の申立を行った会員に対して預託金を返還するとともに、預託金の返還によって会社更生の申立に必要な債権額を下回った旨の上申書を提出しました。

(4)即時抗告に対する最終的な判断は裁判所に委ねられておりますが、現時点では判断時期等は不明です。

 

2 SWに対する破産事件の状況

(1)SW開発株式会社(以下、「SW」といいます。)に対する破産事件については、東京地方裁判所から破産手続開始決定が出されています。

(2)破産事件においては、SWが保有しているSKCCの株式に対する入札が行われる予定であり(入札によってSKCCの株式を取得した者が仙台空港CCの経営権を獲得することになります。)、破産管財人において入札条件を検討中です。

(3)HJ側は、破産管財人に対して、以下の入札条件を提案しています。

  ① SKCCに対する6.2億円の贈与金がWOに返還されないよう保全手段を講じること

② SKCCの役員を変更し、公正中立な状態に戻すこと

③ 入札実施前にSKCCとガーデンゴルフとの営業貸借契約を解消すること

(4)これに対して、WO側は、会社更生事件の結論が出ていないので入札条件を検討することはできないとして、その検討を拒んでいます。

(5)破産管財人は、入札条件の検討を強硬に求めるとWO側の代理人が解任されてしまい却って手続が進まなくなることを懸念して、説得に消極的であり、事実上手続が進捗していません。

 

3 破産事件の入札における問題点

(1)WO側は、会社更生事件に対する対抗手段と称して、SKCCとガーデンゴルフクラブ株式会社(以下「ガーデンゴルフ」といいます。)との間で営業賃貸借契約を締結させています。

この契約によって仙台空港CCの営業権は20年間にわたりガーデンゴルフに賃貸されり、しかも、この契約の裁判管轄権は中国にあるため、SKCCの株式を落札しても、WO側(あるいはその関係者)以外の落札者が解約することは事実上困難です。

(2)従って、現在の状況はWO側(及びその関係者)以外の入札者にとって極めて不利になるため、HJ側は入札条件として営業賃貸借契約の解消を求めているわけですが、WO側はこれに応じることを拒んでいます。

(3)このような不公正かつ不公平な状況のままで入札が実施されると、ガーデンゴルフによる支配を排除できないため仙台空港CCの価値が下がることとなり、ひいては会員の皆様の利益を損なうことになります。

(4)そこで、守る会としては、SKCC及びWOに対して、破産手続に協力するよう、特に、ガーデンゴルフとの間の営業賃貸借の解消に応じるよう強く求めていく必要があると思います。

以 上